LGBTの子どもたちを支援するプロジェクト(案)2008年06月09日 00:49

平田の最近の関心事(今後、年数をかけて実現していきたいと考えていること)について以下に記します。

■LGBTの生活状況を改善するためには、LGBT当事者「だけ」で集まって活動していてもなかなか有効な動きが社会の中に生じていかないと、ここ数年来、私は思っています。それは、十数年間、私がほぼ当事者「だけ」で集まって活動してきた中で感じていることです。 
■いかにして、ヘテロセクシュアルの人たちにも、LGBTを取り巻く「問題」が存在することを認識してもらい、それらの諸問題に対応しよう(関わろう)という意識を持ってもらうかということが肝要であると思います。
■LGBTの問題に、否応なく身を入れて関わらざるを得ないヘテロセクシュアルの人々として、自分の子どもがLGBTであることを知った「親」たちがいます。なので、私は、親たちの集まりがあれば積極的に参加するようにしています。 
■ヘテロセクシュアルの人たちへのはたらきかける方法として、親たちのほかに、私が最近考えているアプローチ(案)があります。 
■中学校・高校という学校環境の中に居る子どもたちの状況について、大人たちは(子どもたちが困った状況に置かれている場合)対応を考える責任・義務が(社会的に)あります。状況を把握し、状況を改善するための有効な手段を講じようとする義務・責任があると、(一般社会的にも)そう見なされています。 
→なので、中学生・高校生年代のLGBTIQ当事者に着目することを、今の私は考えています。

■広報(いかに情報が当事者の子どもたちの許へちゃんと届くようにでき、レスポンスをもらえるようにできるか)が、非常に非常に大変だと思うのですが、LGBTIQの中学生・高校生の子どもたちの声をきいて・LGBTIQの子どもたちを支援するネットワークを、時間をかけて構築していくことを考えたいと思っています。
(→とりあえずここで、「LGBTティーンズ・ネットワーク(仮称)」というネーミングを付けておきます。) 

■オンライン上でのつながりをつくり、やりとりを構築・維持するためのシステムづくり。
→(1)携帯でアクセスできる、「LGBTティーンズ・ネットワーク」のウェブサイトを作成・運営する。携帯で書き込みでき、支援者側がレスポンスを返すようなウェブ上のシステムをつくる。携帯メールを受け取り、それに対して支援者がレスポンスできるシステムをつくる。

■中学校・高校へのはたらきかけ。
→資金と手間をいくらでもかけることが可能であるなら、日本全国のすべての中学校・高校の養護教諭(保健室の先生)宛に、「LGBTティーンズ・ネットワーク」のポスターを送付し、学校内に貼るようにしてもらう。(全校集会等で)学校の生徒全員に(無理なら新入生入学時に新入生全員対象にだけでもよいが)一年に一回~数回、LGBTを支援する態勢が在ることを全校生徒にアナウンスしてもらう(そう、依頼文を送る)。
 ※やはり、実際には「日本全国すべて」は無理だろうから、当初は、「地方自治体レベル内でできるだけたくさん」の学校に送る、ということになるであろう。

■「LGBTティーンズ・ネットワーク」の支援者サイドは、毎月決まった曜日・時間帯・決まった場所で、LGBTIQの子どもたちが集まれるグループを開催・運営する。(最初は、東京・大阪の二箇所ぐらいだけになるか?) 孤立しているであろうLGBTIQの子どもたちが互いに知り合い仲良くなれる場、自らの思いを語り共有できる場、支援者サイドからの的確な情報・知識・サポートが得られる場、を定期開催する。 
(※この際の難点は、やはり、お金もなく遠方まで出かける自由度の少ない子どもたちが、果たして集まりが開催される場所まで物理的に来られるかどうか、ということである。
(→来られない子どもたちに対しては、携帯サイトなどオンラインを通じてのやりとりを続けるしかあるまい。)) 
■グループでの集まりは、当初は(しばらくの間は)「ピア・サポート」的な雰囲気が大事であろう。(支援者側のファシリテートによって。) 
■しかし、「LGBTティーンズ・ネットワーク」は、当事者だけの「閉じられた」集まりに留まる目的を持っていない。「困った状況を抱えた」子どもたちの「困った状況」の多くは、「環境要因」のせいであると予想される。→その「環境」を変えるための動きをつくっていくことも、「LGBTティーンズ・ネットワーク」の大きな目的である。 
■グループでの集まりにおいては、「ピア・サポート環境」を維持すると同時に、何回かに一回は、「大人」社会側のヘテロセクシュアルの人(で理解のある人)にスピーカーとして来てもらい・話をしてもらう回をつくる。 (1)例えば、既に受け入れた段階にある「親」に来てもらい、親の体験談を語ってもらう。→それによって、参加者当事者の子どもたちが親にカミングアウトするきっかけを生み出すかもしれぬ。→そうしたら、さらにその親にも、その後の回では、(可能なら)集まりに来てもらったらよい。 (2)任意の養護教諭(保健室の先生)に来てもらい、「保健室はこんなところで、保健室の先生はこんなことをしている、気軽にセクシュアリティのことでも話に来てもらったらよい」というようなポジティブなメッセージを話してもらう。→それにより、参加者当事者の子どもたちが自分自身の学校の保健室に行きそこの養護教諭にカミングアウトするかもしれない。→そうしたら、可能であるならその養護教諭にその後の集まりに来てもらい、その体験談を話してもらえるとよいだろう。 (3)養護教諭に限らず、普通の担任を持っているような教員にも来てもらえるとよいかもしれない。受け持った生徒にLGBTIQがいてカミングアウトされ受け入れた体験を持つ教員が見つかるとよいが。 (4)同様のスピーカーとして、スクールカウンセラーも考えられる。 (5)さらには、LGBTIQの子どもたちが、ヘテロセクシュアルの友人たちにカミングアウトして(その友人たちが好意的な関心を持ってくれているなら)、その友人たちにも集まりに来てもらったらよい。 (※グループの集まりには、大学生年代の当事者にもスタッフとして進行役などに関わってもらうとよいかもしれない。自分のセクシュアリティについては、「悩んだ」時期を通り過ぎて、受け入れている段階の大学生年代の人たちに。(無論、大学生年代の当事者で、まだ「支援される」ことを必要とする当事者の人々もいるだろうが。) 世代が近く話題も合い親近感を抱きやすく、また、ロールモデルの役割も果たすことが期待される。)

■このようにして、グループでの集まりに来ている子どもたち「自身」の身の周り(生活環境内)に、身近なヘテロセクシュアルの理解者をつくっていくような動きを生ぜしめる。 
→そうしていくことによって、その学校で、あるいは、その地域で、LGBTIQの子どもたちを支援する必要性(そういうプログラム・枠組みを設けていく必要性)が実感されていくかもしれない。

■このような流れをつくっていくことの最終的な目的は、米国のGLSENが考案し、全米各地に出来上がっていっているGSA(Gay-Straight-Alliance)のやり方である。各学校で、ヘテロセクシュアルの子どもたちとLGBTIQの子どもたちとが一緒になって、LGBTIQが生活しやすい学校環境をつくることを目的とする「サークル」を結成させていく。
→そうすることにより、その学校でLGBTIQが可視化される。
→そのような学校を増やしていく。

■自分の学校に、実際にLGBTIQの子どもたちがたくさん存在することに気づいたならば(&その子どもたちが学校環境の中で数々の居心地悪さに悩まされていることに気づいたならば)、学校側も、なにも対応をせずに無視し続けていることはできなくなるだろう。

■「学校」という「社会」がLGBTIQの問題をしっかりと認識するならば、そのことは、そのほかの「社会」の部分をも変え得る大きな力となり得ると思われる。

■中学生・高校生年代の当事者の実情が具体的にみえてくることにより、自治体や国政に、より説得力をもって訴えかけることが可能になるのではないかとも思われる。

→※以上、述べたようなプランを現在の私は考えています。今現在も、LGBTの子どもを支援しようとする当事者団体はいくつかあり、そのような団体も多かれ少なかれ、上に述べたような動きをつくっていっていると思います。どこかの団体が上記のようなことをやっていってくれるならそれでよいですし、もしほかにどこもやっていかないようなら、年数をかけて、上記のようなことを実現させていきたいと今のところの私は考えています。数年単位で(10年でも20年でもかけて)やっていくようなプランだと思っています。