いのちをつなげる2008年10月15日 23:07

本日、「ライフリンク」の人と、地元で自死遺族支援の活動を行なう人と会って話をした。
「ライフリンク」とは自殺対策に取り組むNPOである。
 http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html

「ライフリンク」は、自殺対策へつなげるため、自死遺族の聞き取り調査を行なっている。1000人を目指しているそうで、「1000人調査」と名づけられた調査である。

3月にNHK教育の福祉ネットワークで、「ライフリンク」の活動を取り上げた番組をみて強く関心を惹かれた。大学の授業でもこの番組のビデオを使い、私自身も思わず、「ライフリンク」にメールを送ってしまった。
「1000」という数値を目標に掲げるのもどうかと思ったのだが、この活動(動き)は促進したいと思った。自分もその動きの一部に加勢したいと思った。

メールで書いたことは、ひとつは、やはりセクシュアル・マイノリティの自殺率が高いであろうことが推察されるのに、日本ではそのことに十分な関心が払われていないこと、いわんや十分な対策が取られていないこと。(そのことをNPOに言ってもしょうがないかとも思ったが、このような地道な活動をしている団体に、問題の「認知」だけでもしてもらえればと思った。)
もうひとつは、1000人調査に参加してもよいということ。

そして、何ヶ月かが経ち、本日、会うこととなった。
(その間、「同性愛者の自殺について」という私のインタビュー記事が、NHKの特設サイトに載ったりもした。)
 http://www.nhk.or.jp/heart-net/mukiau/shirou3.html

私も、11年前に二親等離れた肉親を自死で亡くした。
かなりひさしぶりに記憶を呼び起こし、言葉を紡ぎ出す。
もちろん、話すほうには辛い作業だが、このような聞き取りを、何百人にも行なっているスタッフの側にも大変辛いことと思う。今回お会いしたライフリンクの人は、自身も遺族の人であった。スタッフの方々には、自身、遺族である人も多いのだろうか。だから、できる作業なのかと思う。(勿論それでも、辛いだろうが。)(しかし、「動機」と「意志」の強さが違うのかとも思う。)

初めてかもしれない。このような第三者に、自分の「イエ」の業の深さのようなものを述べるのは。当然相手も私がメンタルヘルスの専門職だと知っているわけだが、当然、私はまったく当事者となって語っていた。客観的になっている余裕などない。

聞き手のお二人が帰ったあと、しばし呆然としていた。

しかし、私のそれほど長くはないこれまでの人生の中で、いったい、何人の人々を自死で亡くしたことか。自分の肉親に限らず、それらの人々のことも思い、私は、語らねばと思った。おそらく、「意味」のあることを成したのだろう、そういう感触は残った。

この動きは(この動きも)大切なもののように思える。
(直接関わることはないだろうが)見守っていきたいと思った。

コメント

_ confidence ― 2008年12月23日 23:00

NHKのテレビを拝見して、ここにたどりつきました。ライフリンクのHPも見てきました。私は数年前に先生の患者でした。いつか死を、と思いながらそれでも毎日生きています。一人ぼっちと思っていても家族がいるのですね。辛い思いをさせる権利は私にはないのですね。診察室で私の話に丁寧にうなずいて下さった先生を思い出してもうしばらくがんばってみます。

_ 平田 ― 2009年01月07日 21:05

confidenceさん
テレビに出たりすると、このようなつながりが生まれることがあるのだとあたらめて感じ入りました。どなたかはわからないですが、NHKの番組をご覧になって、このブログに来られて、ライフリンクのHPもご覧になって、なにか感じられたものがあったのでしたら、その感じられたものをどうぞ大事になさって下さい。一人ひとりのいのちは別々のものでなく、どこかでつながっているように私は思っています。

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