【文献】LGBT当事者の理解にナラティヴ生成が果たす役割 ― 2011年06月01日 23:03
枝川京子・辻河昌登(2011): LGBT当事者の理解にナラティヴ生成が果たす役割,心理臨床学研究,29(1),85-96
本研究は, 多様で複雑であるとされているLGBT当事者にとっての人生の意味を, 当事者の語りから明らかにすることを目的とした。方法としては, 非構造化面接によって得られたナラティヴを当事者の経験の意味づけ, 語り手・聞き手の関係性という視点から, ナラティヴ・アプローチの枠組みを用いた。その結果, 語り手は語ることによって自分の経験に意味を与え, さらなる自己理解の可能性を見いだすこと, また聞き手である研究者は単一事例研究として当事者の語りを分析することによって, 語り手が日々の行動をどのように秩序づけ, 経験として組織化し, それを意味づけているのかを理解できることが明らかになった。得られたナラティヴは聞き手と語り手によって共同生成されたものであり,語りの内容の分析だけでなく,双方が相手や相手の語りをどのように解釈し,その解釈はその後に共同生活する語りにどのように影響を及ぼしたのかを考察する必要がある。そしてそのことは語り手の思いを掬い取り,語り手を多面的に理解することに寄与するものであることが示唆された。
本研究は, 多様で複雑であるとされているLGBT当事者にとっての人生の意味を, 当事者の語りから明らかにすることを目的とした。方法としては, 非構造化面接によって得られたナラティヴを当事者の経験の意味づけ, 語り手・聞き手の関係性という視点から, ナラティヴ・アプローチの枠組みを用いた。その結果, 語り手は語ることによって自分の経験に意味を与え, さらなる自己理解の可能性を見いだすこと, また聞き手である研究者は単一事例研究として当事者の語りを分析することによって, 語り手が日々の行動をどのように秩序づけ, 経験として組織化し, それを意味づけているのかを理解できることが明らかになった。得られたナラティヴは聞き手と語り手によって共同生成されたものであり,語りの内容の分析だけでなく,双方が相手や相手の語りをどのように解釈し,その解釈はその後に共同生活する語りにどのように影響を及ぼしたのかを考察する必要がある。そしてそのことは語り手の思いを掬い取り,語り手を多面的に理解することに寄与するものであることが示唆された。
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